癒しの芸術、と称されるマッサージ

世界には「芸術的なマッサージ」として発展を遂げてきたものが数多くあります。身近なところでは、日本の整体・指圧、中国の鍼灸などが挙げられますが、タイ古式マッサージもまた、世界を代表する芸術的マッサージであることは言うまでもありません。
 

起源は、2500年前のインド

タイ古式マッサージは、今から約2500年前、仏教とともにインドからタイに伝わったと考えられています。ブッダの主治医であった「シーウォック・ゴマラバー師」が創始者と言われており、師はマッサージのみならず、薬草や鉱物などを医術的に用いる大家でもありました。その後、長い歴史の中で、サムンプライ(タイ方薬)とともに発達し、洗練されて現在に至っています。
 

タイ国内での歴史

タイ国内での歴史をたどると、スコータイ・アユタヤ王朝時代(1238~1782)に行きつきます。この時代の医師達は、すでにサムンプライやタイ古式マッサージを用いた診療を行っていましたが、その知識は師から弟子へと口承で受け継がれ、一般の人々がタイ伝統医学を学べる教育施設はありませんでした。

ラマ1世の時代(在位1782~1809)、旧王朝の隣にあった寺院(ワット・ポー)の壁に、仏教やサムンプライ、タイ古式マッサージの経典を彫らせたのが、タイ伝統医学における初めての一般公開であると言われています。その後、ラマ3世がワット・ポーの大改修に着手した際、誰でも自由に勉強ができるようにと、王宮の書庫に保存されてきた膨大なタイ伝統医学の経典の一部を寺院内の大理石に彫らせましたが、これはラマ1世より遥かに大規模なもの。現在も寺院の壁画にその記録を見ることができます。

ラマ5世の時代には、従来の資料を収集・改定し、後世に残るタイ伝統医学の経典「タイ伝統医学大典30巻」を作成。さらに、初のタイ方医学、現代医学の公立医学学校が設立されました。教授たちにより出版された医科学教科書は、書物として初めて一般にも公開され、タイ伝統医学教育の唯一の源流と言われています。
 

タイ伝統医学は、タイの文化そのもの

タイ古式マッサージは、現在、タイ国内各地の寺院やマッサージ教育施設で継承され、世界中の人々がその技術を学ぶために集まってきています。タイ伝統医学の中心として、今や世界的な認知度を誇るタイ古式マッサージですが、ラマ6世の時代には、西洋医学への傾倒からタイ伝統医学の中止が発令され、多くの医師が職を辞した「暗黒の時代」もありました。

そうした過去を経て、1900年代、地方の医師連合やバンコクの医療関連の人々により、「タイ式マッサージ復興プロジェクト」と銘打った集会がバンコクで開催されました。21世紀を迎えた現代では、国の貴重な文化として、タイ古式マッサージを守り、育むための新たな取り組みが、今まさに始まっているのです。
 
 

「タイ古式マッサージの地域別の特徴」
 
 


 

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